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■やっぱり激変する

 この掲載も、意外と好評を頂いており、徐々に話を展開していこうと思っていましたところ、業界にとって大きな出来事がありました。
 2008年1月上旬に、携帯電話会社3社と、PHS事業者1社が、未成年者に適用するアクセス制限を発表たのです。簡潔にまとめると、このようになります。
 ・18才未満の契約端末は、親権者の『アクセス制限不要』の申請が無い限り、アクセス制限フィルターを適用する。
 ・アクセス制限フィルターは、公式登録サイト以外を完全に遮断する。
 ・公式サイトのうち、グラビアなど大人向けコンテンツのあるサイトも遮断する。
 ・フルブラウザでの通信も遮断する。
 ・すでに利用しているユーザーも、一定猶予期間後に全て適用対象とする。

 つまり、この記事で書いてきた『モバゲータウン』というもののビジネスモデルそのものが、立ち行かなくなることを意味します。
 『ゲーム+SNS』というサイトにおいてもっともアクティブな層が、親の承諾なしには利用できない、ということになるのです。当然、モバゲータウンもこれを見越して、脱ゲームSNS、ポータル化を目指して刷新を進めていましたが、この制限の持つ破壊力はすさまじいものがあります。
 携帯電話が関係した、児童や学生への悪影響が多く報道されるようになってからは、キャリアによる制限はいずれ掛かるだろうと思われていましたし、実際に制限を検討することは発表されていました。その内容が明らかになるまでは、おそらく『出会い系サイト』やそれに準ずるものは規制されるだろうと思われていました。モバゲータウンの対策も、その「希望的観測」に基づいて、(あるいは、せめてもの願いとして)そうした想定される制限に対応するために、行なわれていたものと思われます。
 つまり、モバゲータウンは子供達に悪影響のある『ゲームSNSサイト』ではなく、携帯を便利にする『ポータルサイト』であると標榜するためにです。しかし、『非公式サイト完全ブロック』ということになると、まったく手の打ちようがなくなります。


■非公式完全ブロックということは

 キャリアの認めたサイト以外、フィルターの適用された端末からはアクセスできない、ということはどういうことか。
 当然、今までのユーザーも含め、モバゲータウンそのものにまったくアクセスできなくなります。いくら周辺サイト、代替サイト、関連サイトを立ち上げても、(それらが非公式である限り)一切アクセスできません。見えるところに手が届かないのではなく、フィルタリングされたユーザにとっては、存在そのものがなくなってしまうのです。

 モバゲータウン側から見ても、それは恐ろしい光景です。昨日まで『モバゲータウン』の中で生き生きと活動していた800万もの住人達の大半が、突如として『脱け殻』の存在になってしまうのです。システムのデータベース上、ユーザーの登録はあるが、活動はしない。数百万のゴーストユーザーは、リソースは食うが、収益には結びつかない。
 それは、単に『ユーザー数が減る』というだけに留まる話ではありません。かろうじて残ったユーザー達に与える不気味さも、半端ではないでしょう。その世界の中でのユーザーの化身である、アバターは存在し、ユーザーの家に当たるマイページもある。コミュニケーションを取ろうと訪ねていけば、そこにはいるが、反応しない「住人」、いわばゾンビのような住人が数百万人存在する「タウン」になるわけです。
 住人の数が多いだけに、そのゴーストタウンから新陳代謝が進み正常なスモールタウンになるまでに、時間も掛かるでしょうし、それに嫌気がさして止めていくユーザーもいることでしょう。


■無料登録サイトとメール配信、スパム化

 ユーザーはサイトにアクセスして登録し、使用を止めようと思った時はサイトにアクセスして解約する必要があります。当然と思われるかも知れませんが、フィルタリングされてアクセスできなくなった場合、解約が出来なくなるのです。
 無料サイトの多くは、よりユーザーのアクセスを促すために、定期的にメールを配信します。登録を解除しない限り、メールは配信されてきます。良心的な無料登録サイトは、フィルタリング適用後のメールに、登録解除の案内を記載するでしょう。もちろん登録解除URLを表示してもアクセスできないので、メールの送信などのみで解除できるようにしなければなりません。

 では、それほど良心的ではないサイトはどうでしょうか。おそらくこうした措置は取らないでしょう。
 なぜか。それは、登録ユーザーは18才未満だけではありません。当然、どのサイトにも18才以上のユーザーも多く存在します。無料サイトの多くが、ユーザーの状況を把握するために、あるいは広告掲載のセグメントを切るために、登録時に生年月日を入力するようになっていますが、それはあくまで自己申告です。未成年ではない生年月日で登録したユーザーの中にも、本当は未成年でフィルタリングの対象になる人が含まれます。つまり無料登録サイトの運営者は、ユーザーの本当の年齢は把握できないため、全てのユーザーに、この『解約案内付のメール』を送らなければなりません。
 しかし、無料登録サイトから送られてくるメールは、ユーザーにとっては非常に鬱陶しく感じるもので、ユーザーの年齢が高くなるほどその傾向は強くなります。ですので、こうしたメールはただでさえ、ユーザーの解約のきっかけになりやすいのです。無料登録サイト運営者は、メールを送信するたびに一定のユーザーが解約することを承知の上で、それでもユーザーのアクティビティを高めるために血を流しながらメールを送るのです。その上、そのメールに『解約案内』を、しかもメールの送信ひとつで完了する簡単な解約案内を掲載することは強く抵抗を感じるはずで、掲載をしたがらないのは当然です。
 しかも、その解約案内の掲載は一度でいいわけではありません。
 18才未満のユーザーは、たとえ登録時にフィルタリングされていなくても、いつ親の意向でされてしまうかわからないのです。ですので、まともに運用しようと思ったら、今後配信するメールには、ずっと解約案内を掲載し続けなければならなくなります。
 メールで解約できない、サイトから解約したくてもアクセスできない、でも、メールだけ送られてくる、つまり、スパム化してしまいます。この問題をスマートに解決する方法は、なかなか見つからないかもしれません。ユーザーがこうした、いわばゾンビ化したアカウント宛てに届くメールをスパムとしてキャリアに通報し始めれば、あるいはそのサイトからのメール全てが、スパムメールとしてキャリアにブロックされてしまうことも充分考えられます。


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